義務感・危機感・食料確保

ハンターになって6年目.まだまだ失敗ばかりの自分ではありますが,たまに,知人から「将来ハンター志望の若者がいるんだけど,ちょっと話をしてやってくれないか」と頼まれたり,後輩の学生さんから「狩猟や駆除,解体の現場を見学したい」といった依頼をいただくことがあります.

これまでのハンター生活で多くの方々にお世話になっていることや,野生動物の保護管理をすすめるための人材育成を考えていく上で大切なことかと思い,基本的には,お断りしないようにしています.
そういった際は,最後に簡単なアンケートをとっています.一部をご紹介します(2016年3月~2017年12月,計13名分).

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・近い将来,地元で駆除と自家消費の両目的で狩猟を始めたいと考えており,狩猟の現場を見聞きしたかった.ハンターになるには,金銭,労力面でのハードルが高いと思った.また,始めても熟練者による技術面でのサポートが必要だと思った(30代・男)
・命と向き合う事と,スポーツとしてとても大切でおもしろい事だと感じた(20代・男)
・日本の食糧自給率の低さと,世界の食糧生産の頭打ちを鑑みて,それらを解決する手段として狩猟は極めて有効だと考えた.受け継がれてきた狩猟技術を維持し,次世代に受け継ぐことは極めて重要な任務であると思った(30代・男)
・実際に狩猟を行っている現場は,思った以上にのんびりしていた.個人的な印象としては海で釣りをするのと変わらない気がした(20代・男)
・実際に現場を見てから免許をとろうか迷っていたけれど,もう少し考え直そうかな,と思った(生き物の生命を絶つという行為や解体が,実際に自分にできるか不安になった)(20代・女)

上記の中で,その後に狩猟免許(銃/罠)を取得した方はいらっしゃいますが,銃所持までいたったり,罠猟免許で狩猟者登録し,実際に狩猟を行っている方は,まだ一人もおられません.その理由としては,ハンターになるまでの手続きが煩雑であること,そして,金銭的な問題が大きいとのことでした.引退されたベテランさん方から道具(ガンロッカーや銃など)は無料でいただけたとしても,ハンターになるためには,それなりにはお金がかかります(講習代金など計数万円~10万円くらい).また,ハンターでいることには,維持費(ハンター保険料,弾代など)がそれなりにかかります.志を持った若者でも,実際にハンターになるまでにはいたっていない現状を見ると,なんだか少し残念な気持ちになることもあります.

今現在,自身がハンターである理由は,義務感・危機感・食料確保です.安心安全で楽しみながら進んでいきたいと思います.
最後に,最近一番美味しかったジビエ料理,エゾシカローストの写真を添えます.ご興味がある方は,ぜひ,この世界においでいただければと思います.

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会員,kばゆみ,野生動物研究者

 

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3年目の猟師とは?

なんやかんやと猟師歴が3年となり、つい最近まで初めての「更新」に向けて必要な書類をそろえていた、会員の粗塩と申します。
私は小さな村の職員で、今は主に広報誌を作る担当をしています。平日は仕事、土日も取材に出ることが多いため狩りに出られる時間はあまり多くありません(当然猟果も少ないです)。

そのため、職場の仲間からはよく「シカ捕ってこい」と急かされます(また、長らく恋愛と疎遠なため、「シカはいいから男を捕ってこい」と冗談を言われることもしばしば)。本来、3年目の割には「ハンター」として育っていないこと少しは焦るべきなのでしょうが、「別にいいか」と考えてしまっている自分がいます。神経が太いと、こういうところで便利ですね。

という訳で、「3年でこれだけ成長しました!」というような話を書けたらよかったのですが、ほぼ進歩していません。強いて言うなら、以前よりかは鹿肉を調理することに慣れ、知人から「粗塩さんのシカ肉料理が食べたい」とリクエストをもらえるようになったことが成長点でしょうか。筋っぽい部分を集めてストーブの上に鍋を放置して作る「鹿筋の煮込み」が特に好評です。因みに味付けには粗塩ではなくめんつゆを使います。

さて、そんな私ですが今日は取材が無かったため、村内の山へ師匠と猟に出かけてきました。スノーモービルから降り、スノーシューでシカの足跡を追い、結局シカを見ることなく山頂からの眺めを楽しんで帰って来ました。まあ、現実とはこんなもんでしょうか。おそらく明日は全身筋肉痛でしょう。

以上、粗塩の3年目の現状報告でした。

執筆者 会員・粗塩

※この記事は2017年12月24日に執筆されました。

 

 

 

北海道にはいない動物

2015年の5月に北海道を離れ地元群馬で狩猟生活を送っているものです。

こちらに越してきて「これが普通でしょ!」と思っていたことが普通ではなくなったり、今までやったことがないことを経験したり、新たな発見が多い日々を送っています。

狩猟に関しては、北海道にいるときは流し猟が主流だったのが、こちらでは巻き猟が主流になり、一人で出猟してもなかなか獲物が捕れずにいます。

いままで狩猟期間以外も有害捕獲で一年中猟ができていたのに、引っ越して来て1年目は有害捕獲に参加できず通常の狩猟期間11月15日の解禁を待ちました(本州の狩猟期間は北海道より1か月半ほど遅れて解禁となります)。

捕れるのに出猟しないのと、捕れないので出猟できないのは同じ出猟していない状況なのに雲泥の差があり、猟欲はほとんどない方だと思っていたのに思いのほか解禁日を心待ちにしている自分がいて少しびっくりしたのを覚えています。

土地勘はなかったものの、動物に会いたくてグーグルマップの衛星写真を頼りに林道を探し、やっと見つけた家から車で10分ほどの林道。

仕事が早く終わった夜にこの林道を走ってみたり、出勤前に行ってみたりいろいろするうちにイノシシに出会えたり、

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10月中旬ごろにはシカのラッティングコールもばっちりと聞けて、ネズミを狙うキツネの姿も。

猟期が始まってからもなんどか通ううちにたびたび出会うようになったカモシカ。

北海道にはいない動物なので、見かけるのは初めてでした。

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たいていいつも同じ場所でじっとこちらを見つめていて、シカやイノシシのようにすぐに逃げないので、しばらく両者見つめ合う時間ができます。

カモシカは、狩猟鳥獣ではないのですが出会えるととても幸せな気持ちになります。

あの、あたたかそうなもこもこふわふわのおしり!!

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バリエーション豊かな毛色と表情。

シカと比べたら個体識別がはっきりとできます。

林道で出会うカモシカは、毛色が同じなので同一個体だと考えています。

4tate.jpg▲いつも出会う子とはまた違う個体

林道は、冬の間は除雪が入らず(群馬ですが山の中なので1・2月は根雪になります)

しばらく姿を見ることがなかったものの、雪解けの4月に久しぶりに林道を走ると

「元気にしてた?」と言っているかのようにまた姿を見せてくれました。

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幸せなひととき。

猟期中は猟友会の方々と一緒に巻き狩りに出たり、2年目からは有害捕獲の罠設置などを一緒にやったりと解禁日が待ち遠しい!ということもなくなったのですが、カモシカに会いたい!という名目のもといつもの林道へたまに出かけます。

みなさまも本州へお越しの際は、狩猟対象にはなりませんがカモシカにも注目してみてください。

執筆者 会員 T.T 会社員

カテゴリー: TWIN

大切な刃物達

狩猟を行う上で、銃と共に欠かせない道具の一つが「刃物」です。私が現在所有しているナイフは、買ったもの・貰ったもの含めて5つ所持しています。


写真最上段の特徴的な形のナイフは、「ウルナイフ」です。友人がアラスカの土産に買って来てくれました。このナイフは、エスキモー伝統刃物で、獲物の解体から調理まで幅広く活用されている万能ナイフです。切れ味は日本の鋼の物よりは劣りますが、普通に切れます。あまり実猟向きではないので、キッチン用&食器棚に飾っています。
写真上から二段目は、マタギの里で知られる秋田県の阿仁町を旅行した際に購入した西根鍛冶店の「山刀」ナガサです。マタギの魂と言われる山刀、北海道から来たハンターであること伝えたら、快く工場を案内していただけることになり、実際に袋山刀(柄の部分が筒状になっていて、通常は小刀として使用するが、木の棒を差せば槍に早変わりする刃物)を作っている所を見学する貴重な経験をさせていただきました。

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火入れや研磨作業など職人さんの流れる様な手業は、見ていて全然飽きず、本当にカッコよかったです。一生の相棒にと山刀を買わせていただいたのですが、自分用に購入して言った女性は初めてだと言われました笑。もちろん切れ味抜群で、解体時間が短縮するくらいの良い仕事をしてくれます。
他にも、ベテランハンターさん手作りのシカ角柄のナイフ、別のハンターさんから頂いたシカの蹄がデザインされた可愛いナイフ、アウトドア用でベーシックなBUCKの折り畳み式ナイフ。その時々に使い分けて色々活用しています。
銃を持っているだけでも怪しいのに、刃物をこれだけ所持しているのは、さらに怪しいですが、銃も刃物も使いよう。正しく安全に使い続けられるようにしていきたいと思います。そして、刃研ぎをマスターするのが目下の課題です…

七飯町在住 会員K

カテゴリー: TWIN

徒然なお話:学会のエクスカーションでジオパークに初訪問。

11月に帯広畜産大学で開催された「野生生物と社会」学会のエクスカーションに参加した。エクスカーションは、11月5日から6日にかけての2日間で、5日は帯広広尾自動車道に設置されているモモンガの橋やコウモリ用のカルバート、そして、シカなどの中大型動物を対象としたオーバーブリッジなどを見学し、2日目は、ナキウサギを見に然別湖の手前にある駒止湖に続く散策路沿いの見学スポットのガレ場に。ガレ場とは、ゴロゴロした火山性の岩が一面に広がっている、ナキウサギの住処となっている場所で、地下の永久凍土から出てくる冷気で、真夏でもひんやりしている。

あいにくの曇りプラス雪で、ナキウサギの鳴き声は聞こえど姿は見えず、寒さに耐えつつ、みんなでじーっと待っていたが、見られたのは糞だけにとどまった。

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冠雪したガレ場

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岩の隙間にこんもりとしていたナキウサギの糞

ナキウサギも気になったが、個人的には、まわりの地面がとても気になった。

ふさふさしていて、シカの袋角のようにも見える植物。胞子体もとんがりめのハート形のようでかわいらしい。地を這って伸びている苔の一部が輪っかになっていた。これも自然の造形だと思うと興味深い。てっきり苔の一種だと思い、植物に詳しい知人に聞いてみたところ・・・、ヒカゲノカズラというシダ植物だった。

シカの袋角のようなシダ植物「ヒカゲノカズラ」

ちゃんと、苔の仲間も見つけた。広い自然の中の小さな世界に、ナキウサギは見れなかったけれど、手がかじかんでいるのを忘れられるくらいの時間を楽しんだ。

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岩の隙間に生えていたスギゴケ

観察の後立ち寄った「とかち鹿追ジオパーク」、施設はこじんまりとしているが、とても面白かった。

火山が生んだ十勝の地形のお話や、風穴や永久凍土などの自然のお話、そして、それらを源とする人々の生活。最近、仕事で地方に行く機会が多くなり、年を取ったせいかいろんな地域の暮らしや文化などにも関心が出てきていたので、解説がとても興味深かった。改めて、ただ見るだけじゃなく、知っている人にその背景を聞きながら、目だけじゃなく、耳も手も(時には鼻や舌も)使って、五感を使って楽しむことって大事だなと感じた。

火山活動から現在の地形の成り立ちまでを立体的に見ることができるプロジェクションマッピングでは、モニターで動画を見るのとはまた違った面白みがある。火山活動で川が堰き止められて然別湖が出来上がる過程や、然別川が東に西に動きまくっている様子なども見ることができて、とても面白かった。

ジオパーク自体はそんなに大きい施設ではないので、十勝に来た時には、ふらり立ち寄るのもおススメです。

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みんなでジオパークにGO!

解説を聞いてから、プロジェクションマッピングで大地の成り立ちを楽しんだ。

 

執筆者 会員 しかじか

カテゴリー: TWIN